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離婚時のマンション財産分与と名義変更の完全ガイド 〜弁護士相談前に知っておくべきこと〜

2025年4月29日

離婚時のマンション財産分与と名義変更の完全ガイド 〜弁護士相談前に知っておくべきこと〜

離婚は人生の大きな転機であり、様々な問題を解決する必要があります。特に共有財産となっているマンションの取り扱いは、離婚後の生活基盤に直結する重要な問題です。マンションを誰が取得するのか、住宅ローンはどうするのか、名義変更の手続きはどうすればよいのかなど、考えるべき問題は多岐にわたります。

この記事では、離婚時のマンション財産分与と名義変更について、法的な観点から詳しく解説します。弁護士に相談する前に基本的な知識を身につけておくことで、より効果的な相談が可能になります。また、自分の権利を正しく理解し、将来の生活設計に役立てることができるでしょう。

1. 離婚時のマンションの財産分与とは

1-1. 財産分与の基本概念

財産分与とは、離婚に際して夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を清算するための制度です。民法第768条に規定されており、夫婦の一方が相手方に対して請求することができます。

財産分与の対象となるのは、主に以下のような財産です:

  • 不動産(マンション、一戸建て、土地など)

  • 預貯金、現金

  • 有価証券(株式、投資信託など)

  • 自動車などの動産

  • 退職金(婚姻期間中の寄与分)

  • 生命保険の解約返戻金

これらの財産のうち、特にマンションは金額が大きく、住居としての重要性も高いため、慎重な検討が必要です。

1-2. マンションが財産分与の対象となる条件

マンションが財産分与の対象となるかどうかは、主に以下の要素によって決まります:

  1. 取得時期: 原則として、婚姻中に取得したマンションは財産分与の対象になります。ただし、婚姻前に取得したマンションであっても、婚姻中のローン返済に配偶者が寄与した場合は、その寄与分が財産分与の対象となることがあります。

  2. 取得資金の出所: 婚姻中であっても、相続や贈与など特有財産(夫婦の一方のみに帰属する財産)によって取得したマンションは、原則として財産分与の対象外です。ただし、婚姻中の維持管理や価値の上昇に配偶者が寄与した場合は、その寄与分が財産分与の対象となることがあります。

  3. 名義: マンションの名義が誰であるかは、財産分与の対象になるかどうかの決定的な要素ではありません。夫婦の一方の名義であっても、婚姻中に協力して取得した財産であれば、財産分与の対象となります。

1-3. 財産分与の割合

財産分与の割合は、法律上明確な規定はなく、以下の要素を考慮して個別に決定されます:

  1. 夫婦の貢献度: 婚姻中の経済的貢献(収入、家事労働など)を考慮します。

  2. 婚姻期間: 一般的に、婚姻期間が長いほど、財産形成への貢献が認められやすくなります。

  3. 離婚の原因: 有責配偶者の財産分与請求が制限される場合があります。

  4. 離婚後の生活への配慮: 子どもの養育環境や経済的な自立の可能性なども考慮されます。

実務上は、夫婦の共有財産は原則として2分の1ずつという考え方が一般的です。ただし、個々のケースによって異なるため、弁護士に相談することをお勧めします。

2. マンションの財産分与の方法

マンションの財産分与には、主に以下の方法があります:

2-1. 換価分割(売却して現金化する方法)

マンションを売却し、得られた現金を分割する方法です。

メリット:

  • 公平な分割が可能

  • 住宅ローンがある場合、完済できる可能性がある

  • 離婚後の新生活のための資金を得られる

デメリット:

  • 売却までに時間がかかる

  • 市場価格によっては損失が生じる可能性がある

  • 住み慣れた住居を失う

2-2. 現物分割(一方が取得する方法)

夫婦の一方がマンションを取得し、他方に代償金(等価の現金や他の財産)を支払う方法です。

メリット:

  • 住み慣れた住居に住み続けられる

  • 子どもの生活環境を維持できる

  • 売却に伴う手続きや費用を避けられる

デメリット:

  • 代償金を用意する必要がある

  • 住宅ローンの引き継ぎが必要な場合がある

  • 名義変更の手続きが必要

2-3. 共有持分のまま(共有状態を継続する方法)

離婚後もマンションの共有状態を継続する方法です。この方法は一般的には推奨されません。

メリット:

  • 即時の資金調達や名義変更が不要

  • 将来的な売却時期を柔軟に決められる

デメリット:

  • 離婚後も財産的な関係が継続

  • 将来的な売却や管理について紛争のリスク

  • 修繕や税金などの負担割合について継続的な調整が必要

2-4. 適切な方法を選ぶポイント

どの方法が最適かは、以下の要素を考慮して決める必要があります:

  1. 住宅ローンの残高: ローン残高がマンションの価値を上回る場合(オーバーローン)は、売却が難しくなります。

  2. 子どもの有無: 子どもがいる場合は、その生活環境への影響を考慮する必要があります。

  3. 双方の経済状況: 代償金を支払う能力や、単独でローンを引き継ぐ能力があるかどうかを検討します。

  4. 居住継続の希望: どちらかがそのマンションに住み続けることを強く希望するかどうかも重要です。

3. マンションの名義変更の具体的な手続き

マンションを財産分与として一方が取得する場合、名義変更の手続きが必要です。その具体的な流れを解説します。

3-1. 名義変更の前提条件

名義変更の前に、以下の条件を確認・整理しておく必要があります:

  1. 財産分与の合意: 離婚協議書や調停調書など、マンションの財産分与について明確に記載された書類が必要です。

  2. ローンの処理: 住宅ローンがある場合は、金融機関との協議・合意が必要です(後述)。

  3. 必要書類の準備: 戸籍謄本、住民票、印鑑証明書など、登記に必要な書類を準備します。

3-2. 名義変更の基本的な流れ

マンションの名義変更(所有権移転登記)の基本的な流れは以下の通りです:

  1. 必要書類の収集:

    • 不動産の登記事項証明書(法務局で取得)

    • 所有権移転登記申請書

    • 財産分与を証する書面(離婚協議書、調停調書など)

    • 戸籍謄本(離婚後のもの)

    • 住民票

    • 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)

  2. 登記申請:

    • 管轄の法務局に申請書類を提出

    • 登録免許税の納付

  3. 登記完了:

    • 法務局での審査・登記

    • 登記完了証の受領

多くの場合、この手続きは司法書士に依頼することが一般的です。費用は、登録免許税と司法書士への報酬が主な内訳となります。

3-3. 名義変更における費用

マンションの名義変更には、主に以下の費用がかかります:

  1. 登録免許税:

    • 通常の所有権移転登記:固定資産税評価額の2%

    • 財産分与による移転:固定資産税評価額の0.4%(軽減措置あり)

  2. 司法書士報酬:

    • 一般的に5〜10万円程度(マンションの価値や手続きの複雑さによる)

  3. その他の費用:

    • 戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの取得費用

    • 必要に応じて、不動産鑑定費用など

3-4. 名義変更手続きの注意点

マンションの名義変更手続きにおける注意点は以下の通りです:

  1. 期限: 財産分与による登記は、離婚成立から3年以内に行うことが税制上有利です(登録免許税の軽減措置が適用されるため)。

  2. 住所変更登記: 離婚に伴い住所が変わる場合は、所有権移転登記と同時に住所変更登記も行うと効率的です。

  3. 管理組合への届出: 名義変更後は、マンションの管理組合に所有者変更の届出を行う必要があります。

  4. 固定資産税の名義変更: 市区町村の税務課に固定資産税の納税義務者変更の手続きを行います。

4. 住宅ローンがある場合の対応

マンションに住宅ローンが残っている場合、財産分与と名義変更には特別な配慮が必要です。

4-1. 住宅ローンの基本的な選択肢

住宅ローンがある場合の選択肢は主に以下の3つです:

  1. 完済: マンションを売却してローンを完済する、または貯金などから一括返済する。

  2. 債務者の変更: ローンの債務者を変更し、取得者が単独で返済を継続する。

  3. 連帯債務の継続: 形式上は連帯債務のままローンを継続する(あまり推奨されない)。

4-2. 住宅ローンの債務者変更手続き

住宅ローンの債務者を変更する場合の手続きは以下の通りです:

  1. 金融機関への相談:

    • まずは借入先の金融機関に相談し、債務者変更が可能かどうか確認する。

    • 多くの場合、債務者変更は新規のローン審査と同等の審査が必要。

  2. 必要書類の準備:

    • 離婚協議書または調停調書

    • 収入証明書(給与明細、源泉徴収票など)

    • 住民票、戸籍謄本

    • その他金融機関が指定する書類

  3. 審査と契約:

    • 金融機関の審査

    • 審査通過後、新たな契約の締結

4-3. 住宅ローン特約と団体信用生命保険

住宅ローンの債務者変更には、以下の点にも注意が必要です:

  1. 団体信用生命保険の切り替え:

    • 債務者が変わると、団体信用生命保険も切り替える必要がある。

    • 新たな債務者の年齢や健康状態によっては、保険料が高くなったり、加入できない場合もある。

  2. 金利条件の変更:

    • 債務者変更に伴い、金利条件が変更される場合がある。

    • 固定金利から変動金利への切り替えが必要になることも。

4-4. ローン残高がマンション価値を上回る場合(オーバーローン)

ローン残高がマンションの現在価値を上回るオーバーローンの場合は、特に慎重な対応が必要です:

  1. 売却による解決:

    • 売却しても残債が残る場合、その負担方法を協議する必要がある。

    • 残債の分割払いや、他の財産で相殺するなどの方法がある。

  2. 任意売却の検討:

    • 通常の売却が難しい場合、任意売却を検討する。

    • 金融機関と交渉し、残債の減額や分割払いの合意を目指す。

  3. 弁護士への相談:

    • オーバーローンの場合は特に、弁護士への相談が重要。

    • 債務整理を含めた総合的な解決策を検討する。

5. 財産分与と名義変更に関する税金の問題

マンションの財産分与と名義変更には、様々な税金の問題が絡んできます。

5-1. 財産分与と贈与税

財産分与として受け取ったマンションには、原則として贈与税はかかりません。これは、財産分与が贈与ではなく、婚姻中に形成された共有財産の清算という性質を持つためです。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  1. 財産分与の範囲を超える部分: 清算的財産分与の範囲を超えると判断される場合、その超過部分には贈与税がかかる可能性があります。

  2. 離婚から時間が経過している場合: 離婚から長期間経過後の財産分与は、贈与と見なされる可能性が高まります。

  3. 書面による証明: 財産分与であることを証明する書面(離婚協議書、調停調書など)が必要です。

5-2. 登録免許税の軽減措置

財産分与によるマンションの名義変更(所有権移転登記)には、登録免許税の軽減措置があります:

  • 通常の所有権移転登記:固定資産税評価額の2%

  • 財産分与による所有権移転登記:固定資産税評価額の0.4%

この軽減措置を受けるためには、「離婚による財産分与」であることを証明する書類が必要です。

5-3. 住宅ローン控除の継続

住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けている場合、名義変更後も一定の条件を満たせば控除を継続できる可能性があります:

  1. 現在の債務者が居住を継続する場合: ローンの債務者と居住者が一致していれば、控除を継続できる可能性が高い。

  2. 債務者が変更になる場合: 新たな債務者が居住する場合でも、「特定の贈与により住宅取得等資金を取得した場合の特例」の適用を受けられる可能性がある。

詳細は税務署や税理士に相談することをお勧めします。

5-4. マンション売却時の譲渡所得税

マンションを売却して財産分与を行う場合、売却益(譲渡所得)に対して所得税・住民税がかかります。ただし、以下の特例を利用できる可能性があります:

  1. 3,000万円特別控除: 居住用財産を売却した場合、最大3,000万円の特別控除が適用される。

  2. 買い換え特例: 新たな住居を購入する場合、一定の条件を満たせば譲渡益課税を繰り延べられる。

  3. 軽減税率: 所有期間が10年を超える場合、税率が軽減される。

6. 弁護士への相談が必要なケース

マンションの財産分与と名義変更において、特に以下のようなケースでは弁護士への相談が重要です:

6-1. 協議がまとまらないケース

以下のような場合は、弁護士に相談することで解決の糸口が見つかる可能性があります:

  1. マンションの評価額に争いがある: 不動産の価値をどう評価するかで意見が対立している場合。

  2. 寄与度について合意できない: 財産形成への貢献度について意見が分かれる場合。

  3. 住宅ローンの負担方法で折り合えない: ローンの引き継ぎや残債の処理方法で合意できない場合。

6-2. 複雑な資産状況がある場合

以下のような複雑なケースでは、専門的な知識を持つ弁護士のアドバイスが必要です:

  1. 複数の不動産を所有している: マンション以外にも不動産を所有している場合。

  2. 事業用資産がある: 自営業や会社経営者の場合、事業用資産の扱いも問題になる。

  3. 相続財産が含まれている: 相続で取得した財産と婚姻中に形成した財産が混在している場合。

6-3. DV(家庭内暴力)やモラハラがある場合

DVやモラハラがある場合は、安全を確保しながら財産分与を進める必要があります:

  1. 保護命令の検討: 身体的暴力がある場合は、保護命令を検討。

  2. 別居中の財産散逸防止: 別居中に財産が散逸されるリスクへの対応。

  3. 安全な交渉環境の確保: 直接交渉ではなく、弁護士を介した交渉の実施。

6-4. 国際結婚の離婚の場合

国際結婚の離婚では、以下のような複雑な問題が生じる可能性があります:

  1. 準拠法の問題: どの国の法律を適用するかによって財産分与のルールが異なる。

  2. 外国に所在する財産: 海外にある財産の評価や分割方法に特別な配慮が必要。

  3. 在留資格への影響: 離婚によって在留資格が変わる可能性がある。

7. 弁護士に相談する際の準備と相談の進め方

弁護士に相談する際には、事前の準備と適切な相談の進め方が重要です。

7-1. 相談前の準備

弁護士相談の前に、以下の情報や書類を準備しておくと効率的です:

  1. 財産の状況:

    • マンションの登記事項証明書

    • 住宅ローンの残高証明書

    • その他の財産の内訳と金額(預貯金、株式、車など)

    • 負債の状況(ローン、借金など)

  2. 収入と生活状況:

    • 給与明細や確定申告書

    • 生活費の内訳

    • 子どもの養育費や教育費

  3. 離婚の経緯や希望:

    • 離婚の理由や経緯

    • 財産分与に関する希望(マンションを取得したいか、売却したいかなど)

    • 養育費や面会交流についての希望(子どもがいる場合)

7-2. 弁護士の選び方

適切な弁護士を選ぶためのポイントは以下の通りです:

  1. 専門性: 離婚・家事事件を専門とする弁護士を選ぶ。

  2. 相性: 初回相談で相性を確認する(話しやすさ、共感性など)。

  3. 費用: 弁護士費用の体系を事前に確認する(着手金、報酬金など)。

  4. アクセス: 相談しやすい立地や連絡手段が確保されているか。

7-3. 弁護士費用の相場

離婚事件における弁護士費用の一般的な相場は以下の通りです:

  1. 初回相談料: 5,000円〜30,000円程度(無料の場合もあり)

  2. 着手金: 20万円〜50万円程度(財産の額や事案の複雑さによる)

  3. 報酬金: 獲得した財産分与額の10%〜20%程度

  4. その他の費用: 交通費、書類作成費、郵送費など

なお、弁護士によって費用体系は異なるため、必ず事前に確認しましょう。

7-4. 効果的な相談の進め方

弁護士相談を効果的に進めるためのポイントは以下の通りです:

  1. 事実関係を正確に伝える: 不利な事実も含めて正確に伝える。

  2. 優先順位を明確にする: 何を最も重視するか(例:子どもの環境維持、経済的安定など)。

  3. 質問を準備する: 疑問点をあらかじめリストアップしておく。

  4. メモを取る: 重要なアドバイスはメモを取って確認する。

8. マンションの財産分与と名義変更に関するよくある質問

8-1. マンションの評価方法について

Q: マンションの価値はどのように評価されるのですか?

A: マンションの評価方法には主に以下の3つがあります:

  1. 市場価格(時価): 不動産会社の査定や不動産鑑定士の鑑定による現在の市場価値。離婚時の財産分与では、この方法が一般的です。

  2. 固定資産税評価額: 固定資産税の課税基準となる評価額。市場価格より低く設定されていることが多いです。

  3. 住宅ローン残高: ローン残高をベースに評価する方法。オーバーローンの場合に検討されることがあります。

どの評価方法を採用するかは、夫婦間の合意や裁判所の判断によって決まります。不動産鑑定士に依頼する場合の費用は、一般的に10万円〜20万円程度です。

8-2. 住宅ローンについて

Q: 住宅ローンの名義変更は可能ですか?

A: 厳密には「名義変更」ではなく、「債務者変更(借り換え)」という形になります。可能かどうかは以下の要件で判断されます:

  1. 金融機関の審査: 新たな債務者の返済能力に対する審査があります。

  2. 連帯保証人の有無: 場合によっては連帯保証人が必要になることもあります。

  3. ローン条件の変更: 金利や返済期間が変更される可能性があります。

審査が通らない場合は、リファイナンス(他の金融機関での借り換え)も検討する価値があります。

8-3. 子どもがいる場合の考慮点

Q: 子どもがいる場合、マンションの財産分与はどう考えるべきですか?

A: 子どもがいる場合は、以下の点を考慮することが重要です:

  1. 子どもの生活環境: 学校や友人関係への影響を最小限にするため、現在の住居を維持するメリットがあります。

  2. 親権者の居住安定性: 親権者がマンションを取得することで、子どもの生活基盤を安定させることができます。

  3. 将来の教育費との兼ね合い: マンション取得と引き換えに、教育費の負担軽減を協議するケースもあります。

子どもの最善の利益を第一に考えることが重要ですが、親自身の生活再建も考慮する必要があります。

8-4. 財産分与の時効

Q: 財産分与の請求には時効がありますか?

A: はい、財産分与請求権には時効があります:

  1. 時効期間: 離婚成立から2年間

  2. 例外: 裁判離婚の場合、判決確定時から2年間

  3. 特約: 離婚協議書で別途期間を定めている場合は、その期間

時効を過ぎると財産分与を請求できなくなるため、早めに行動することが重要です。ただし、時効の中断事由(協議中であることの確認書面など)がある場合は、時効が中断される可能性があります。

9. 円満な解決のためのポイント

マンションの財産分与と名義変更を円満に解決するためのポイントを紹介します。

9-1. 感情と財産問題の切り分け

離婚の過程では感情的になりがちですが、財産分与に関しては以下の姿勢が重要です:

  1. 客観的な視点: 感情ではなく、法律や経済的な観点から考える。

  2. 将来志向: 過去の非を追及するのではなく、将来の生活再建を考える。

  3. 専門家の活用: 弁護士や不動産鑑定士など、中立的な専門家のアドバイスを取り入れる。

9-2. 段階的な合意形成

財産分与の合意は、一度に全てを決めようとせず、段階的に進めることも効果的です:

  1. 基本方針の合意: まず「マンションを誰が取得するか」という基本方針を決める。

  2. 条件の詰め: 代償金の額や支払い方法など、詳細条件を協議する。

  3. 手続きの進め方: 名義変更の時期や費用負担などを決める。

9-3. 第三者の活用

対話が難しい場合は、以下のような第三者を活用することで解決が進むことがあります:

  1. 弁護士: それぞれが弁護士に依頼し、弁護士同士で協議する。

  2. 調停: 家庭裁判所の調停を利用する。

  3. ADR(裁判外紛争解決手続): 民間の調停機関を利用する。

9-4. 将来リスクへの備え

財産分与の合意後も、以下のようなリスクへの備えが重要です:

  1. 書面化: 合意内容を離婚協議書など書面に残す。

  2. 公正証書: 強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと安心。

  3. 保険の活用: 債務者が死亡した場合のリスクに備えて保険を活用する。

10. まとめ:弁護士相談前のチェックリスト

最後に、弁護士相談前に確認しておくべきチェックリストをまとめます:

10-1. 財産情報の整理

  • マンションの登記事項証明書を取得した

  • 住宅ローンの残高証明書を取得した

  • 他の財産(預貯金、株式など)の資料を準備した

  • 固定資産税評価証明書を取得した

10-2. 希望の明確化

  • マンションをどうしたいか(取得、売却、共有)の希望を考えた

  • 住宅ローンをどうするかの案を考えた

  • 財産分与の全体像についての希望を整理した

  • 子どもがいる場合、その環境への影響を考慮した

10-3. 相談先の検討

  • 離婚・家事事件を専門とする弁護士を調べた

  • 弁護士費用の相場を調べた

  • 初回相談の予約方法を確認した

  • 相談時に聞きたい質問をリストアップした

おわりに

離婚時のマンション財産分与と名義変更は、法律、税金、不動産、ローンなど、様々な専門知識が必要となる複雑な問題です。この記事で解説した基本知識をもとに、自分のケースに合った最適な解決策を見つけるためには、専門家への相談が不可欠です。

特に弁護士への相談は、自分の権利を守り、公平な財産分与を実現するための重要なステップです。十分な準備をして弁護士相談に臨み、円満な解決と新生活のスタートを切りましょう。



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